日々是好日

ホォォォゥイ！

て言ってたんですよ。
またキリンがおかしな事を言い出したなって
思ってるかも知れませんが、言ってたんです。
キリンではなく、我がオヤジが。

詳しく説明しましょうか。

その昔僕のオヤジは林業を生業としておりましてね。
僕も休みになると手伝いに行くことがあったんですが、
行く度にスゴク気になってたことがあったんですよ。

それは山に入った他の人を呼ぶときとか、
木が倒れる時に注意を促す時とか、
とにかく何かを人に知らせる時には、
必ず先ず「ホォォォゥイ！」と言うんです。
しかも若干甲高い声で、
後頭部から出すような感じで。

それがずっと疑問だったんです。
「おーい！」でも「あぶない！」でもなく
なんで「ホォォォゥイ！」なのかと。

人を呼ぶのであれば「おーい！」の方が
注意を促したり危険を知らせるのだったら、
もっと危機感を煽るような声のかけ方が
あるんじゃないかと。

だからある日オヤジに聞いたんです。
僕が納得できるように話してみろと。
言いたいことは全て僕が聞いてやると。
そしたらこう言いました。

「ホォォォゥイ！」の方が声が通るから
色々仕事が捗ると。

全く納得できる話ではありませんでしたが、
それ以上は固く口をつぐんでしまったので、
聞き出すことは出来ませんでした。

そして昨日。

いつもどおり自転車で颯爽と帰っていたら
前から無灯火で２列に広がった自転車連中が
バカ笑いをしながらやって来ましてね。

僕は最初から端っこを走ってたので、
当然そのまま直進するじゃないですか。
避ける気なんてさらさらないですから。
むしろ加速する勢いですよ。

それでもおバカな無灯火２列連中は
僕が避けると思ってたんでしょうね。
相変わらず大声で下品な笑い声を上げながら、
２列のまま直進してきたんですけど、
さすがに直前になって、
どうも僕が避けそうにないと気づいた途端

「ちょちょっ、おまっ、危なっ・・」




「ホォォォゥイ！」

と言ったのを聞いて謎は全て解けました。
オヤジは正しかったのです。




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