日々是好日

この間誰かが興奮気味にこう話しているのを聞いた。
この世には”楽園”があるというのだ。
どもまでも透通った海に、澄み切った青空。
白く奇麗な砂浜と、優しい風にざわめく草木。
今まで味わったことのないおいしい果物も沢山あるらしい。
興奮気味だった事も考えると、きっと想像以上に素晴らしい所なのだろう。

そんな所で相棒と暮らせたらいいな。

そういえば僕は生れてからこの場所を離れた事がない。
ここで生まれ、ここで育って、ここで相棒に出会った。
だから僕は相棒と出会ったこの場所が大好きなのだ。
ただここが楽園かと言われると、もちろんそれには程遠いと思う。
世界の広さは分からないけど、あまり広い所ではないし、
透き通った海もなければ、砂浜もない。
少しだけ外の世界に踏み出すのもいいかもしれない。

相棒と一緒に”楽園”で暮らす。

話を聞いてから日が経つにつれ、これが僕の夢になった。
そんな所に行かなくてもいい、と相棒は笑うが、行ったらきっと気に入るはずだ。
ただ一つ問題がある。
それは”楽園”が何処にあるのか、
またどうやって行くのか、全く分からないということだ。
でも僕は大好きな相棒のために必ず見つけてみせる。
そしてずっと一緒に楽しく暮らすんだ。
毎日毎日、白い砂浜で遊んで、おいしい果物を食べる。

僕と一緒に”楽園”に行こう。

とても緊張したけど、思い切って気持ちを伝えた。
少し驚いていたけど、相棒は笑って頷いてくれた。



もう少し待って。必ず連れて行く。

だからそれまでは






















ここが僕たちの楽園だ。