2015年05月20日

おじさんの恋文

おじさんの恋文
すっかり夏の日差しに肌を焼かれながら
自転車でのらりくらりと会社に向かう途中、
道路脇に設置された郵便ポストの前に
おじさんが立っていました。

中肉中背、
グレイのジャージにウエストポートを付けた
決して紳士風の身なりではないおじさん。
しかしその丸顔はどこか愛嬌があります。

みると茶封筒をポストに入れかけたまま
迷っているようでした。
なにを迷っているのだろう?

しかしその光景を見て思い出したことがありました。
先日テレビで放送していた宛先不明の郵便を預かる
「漂流郵便局」のことです。

時を超えて届けたい思いを綴った手紙を預かり
展示する「漂流郵便局」

”誰かに届けたかった言葉”

しかしいろんな事情により届けられなかった言葉。
それを漂流郵便局宛に送るというものです。
亡き両親への想い、
ずっと言えなかった親友への懺悔、
そして初恋の人への気持ち。

それらが心の何処かで小さな刺となり
ふとした瞬間にチクチクと心を痛めつけるものです。
そんな自分への決別の意味もあるのでしょう。
手紙は後を絶たないといいます。

もしかするとこのおじさんもそうかもしれません。
結婚して子供も成長し孫も生まれ、
やっと自分の時間を手に入れた矢先、
チクチクとうずく心の痛みの原因が、
ずっと忘れられないでいた初恋の人にあると気づく。

どうして自分はあんなことを言ってしまったのだろう、
どうしてもっと彼女の気持ちを
分かってあげられなかったのだろう、
掻きむしるほどの数々の後悔も
今の自分を作ってくれた大切な美しい思い出。

決して届かないと分かってはいても
今の自分だからこそ言える言葉を書き残したい。
そしてこれからの幸せを心から願いたい。

そんな気持ちで
自然と筆を執っていたに違いありません。

しかしいざ出そうとすると迷ってしまう。
今更こんなことを書いてなんになるのだろうか、
ただの自己満足ではないか。
おじさんの迷いがなんとなくわかる気がしました。
だからこそ、

"きっとその想いは届きますよ"

なおも悩み続けるおじさんを後押ししようと
そっと気持ちを投げかけ通りすぎようとしました。
するとその時、僕の心の声が聞こえたのか、
おじさんが僕を振り返り話してきました。

「この封筒は右と左
どっちに入れればいいとですかね?」



おじさんの恋文
そこ?悩んでたの、そこ?

おじさんには心底がっかりしました。


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Posted by pia masa at 13:43│Comments(0)自分その他
 
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